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■グーグル「パーソンファインダー」で照合、交流サイト「ミクシィ」通じ連絡
「もう流されてしまったか…」。宮城県石巻市の実家近くに押し寄せた1メートル以上の津波。3月11日深夜。千葉県松戸市の会社員、大場淳さん(47)は、インターネットの短文投稿サイト「ツイッター」の画像を見て愕然(がくぜん)とした。
故郷には70歳を超える両親が住んでいる。東日本大震災直後、まったく連絡が取れなくなった。自宅に電話をかけたが、呼び出し音すら鳴らなかった。最悪の想像が頭をよぎった。
大場さんはわらにもすがる気持ちで、ネット検索大手グーグルが設置した安否確認サイト「パーソンファインダー」に登録した。
大場さんは「さほど期待してはいなかった」というが、1週間が経過した3月18日、見知らぬ男性から一報があった。
「ご両親は石巻市のホテルに避難されているようです」
連絡してくれたのは、意外にも東京の会社員だった。交流サイト「ミクシィ」を通じて避難所に掲示されていた被災者名簿のデジタルカメラ画像を入手し、パーソンファインダーの登録情報と照合。大場さんに連絡してくれた。会社員は合致した登録者にボランティアで片っ端から連絡していた。
点になって散らばる情報をネットの善意が結びつけた。避難していた両親と連絡を取ることができた。大場さんは「両親は携帯電話も持っていない。ネットとも無縁の生活を送っていた。こんな形で健在が分かるとは思わなかった」と喜んだ。
両親の安否確認後、会社員に電話で謝意を伝えたが、会社員は「良かったですね」とつぶやいてすぐに切った。素顔を見せない“ネット時代の善意”を大場さんは感じた。
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東日本大震災は、インターネットが各家庭にまで普及して以降、初めての超大規模災害となった。震災直後、ネットは点の情報をつなぎ安否確認で威力を発揮。「災害時インフラ」として大きな存在感を示した。災害時、生命すら左右しかねない「情報」の流れは、これまでの大規模災害からどう変化したのか。(森浩)
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□特性生かし情報発信
■大津波警報“つぶやく”/地域密着のラジオ番組/いつでも回し読み可能
東日本大震災では自治体や専門家から直接情報を入手する手段として短文投稿サイト「ツイッター」が注目された。一方、身近な情報を伝えるミニFMも開局が相次ぐ。メディアそれぞれの特性を生かした情報発信が行われている。
▼ツイッター
宮城県気仙沼市は3月11日、最初の揺れから9分後、大津波警報の発令をツイッター上に投稿。津波が市庁舎1階に押し寄せる中、「身を守って」「避難所から離れないで」などと発信を続けた。書き込みは、同日夜に災害の影響でネットにつながらなくなるまで続いた。
再開したのは14日夕。災害支援品配布や無料法律相談の告知などを伝える。
市危機管理課によると、フォロワー(登録閲覧者)は地震前、500人程度だったが、現在は2万8千人を超えた。同課は「住民以外にも、市の出身者が登録して、地元の様子を知りたがったのだろう。住民と行政をつなぐ新しいツール(道具)となった」と分析する。
自治体からに限らず、ツイッターは専門家から直接情報を得るツールとしても活用された。東京電力福島第1原発の事故の後は、放射線の影響などについて解説した東大病院放射線治療チームのフォロワーは24万人を超えた。
▼ミニFM
「高田第一中学校では給水時間が午前8時から午後6時までです」「水道工事店が仮事務所を開きました」。ライフラインが寸断された被災地で、力を発揮するのはミニFMだ。
岩手県大船渡市は31日、「おおふなとさいがいエフエム」を開局し、仮設住宅の建築予定や医療機関の再開状況など、地域密着の情報を放送している。スタジオは市役所2階。パーソナリティーはボランティアが務める。
開局を主導した奥州エフエム放送(岩手県奥州市)によると、ファクスやはがきもない避難所からは放送の感想は少ない。「それでも避難所ではラジオの周りに人だかりができている」(同放送)
おおふなとさいがいエフエムは、口頭の申請だけで即座に放送免許を受けられる「臨時災害放送局」。総務省によると、東日本大震災では過去最多の20件の申請があった。
過去に複数申請があったのは、平成16年の新潟県中越地震の2件だけ。「震災が広域なほか、身近な情報を必要とする声が強かったためだろう」と総務省は分析する。
▼新聞・テレビ
インターネット調査会社マクロミルが、被災地の住民ら8851人を対象にした調査によると、災害に関するニュースや生活情報を入手する方法の1位は「テレビ」が86%。「パソコンによるニュースサイト・関連HP」(55%)や「新聞」(47%)も高い数字を示し、新聞社などが発信する情報が重宝されていたこともうかがえる。
NHKや民放各社は動画中継・配信サイトにニュースを配信。ネット経由での情報発信を強化した。また、NHKは視聴者から寄せられた安否情報をグーグルのパーソンファインダーに提供。「たくさんの情報が集まれば、より確認できる可能性が高まるだろうと考えた」(NHK広報)
立教大学社会学部の服部孝章教授(メディア法)は「ネットは有効なツールかもしれないが、停電や断線に弱い。読み返せて、回し読みができる新聞は被災地で重宝される。それぞれのメディアに特徴がある。作り手側もそれを認識して情報発信していくことが、今後重要になるだろう」と指摘している。
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【用語解説】パーソンファインダー
ネット検索大手・グーグルが立ち上げた安否情報確認サイト。安否が知りたい人の氏名、住所などを登録しておけば、消息を知る人が生死の別や避難場所などの情報を書き込める。15日現在で約61万件の情報が登録されている。昨年のハイチ大地震の際に同社が開発。2月のニュージーランド大地震でも利用された。
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